設立趣旨書
認知症は、従来「痴呆症」とされていた疾病を2004年厚生労働省により「認知症」と改定されたときに誕生した疾病名称である。現在の認知症は、古くは疾病とされず「ボケ」とされていた時代も長かったのである。我が国では、認知症大国と言われるように認知症患者が増加しつつあり、その原因の第一は長生きすなわち高齢化であろう。若年性認知症も増加しつつあるが、その多くは高齢による認知症罹患である。長寿国日本の宿命とも言えるであろう。認知症の増加に伴い認知症医療の研究も進んでいるが、寛解或いは完治は未だ望めない状況だが認知症の進行を緩やかにし、遅れさせる医術は進歩してきている。
その一方で、認知症患者及びその家族の福祉に目を向けると、認知症患者の不安と恐怖、そして家族の苦悩を解決し、支援する福祉制度は十分とは言えない。確かに、市民活動における認知症患者と家族を支援するボランティア団体等の発足も増えつつあるが制度化されているわけではなく、そのボランティア団体を支援する制度も確立されていない。
このような状況にある中で我が国の認知症患者の増加に伴って、認知症患者及びその家族の福祉すなわち「認知症福祉」を専門に研究する必要に迫られてきていると考える。
私たちは、現場や実践に役立つその認知症福祉の研究を行いその学問体系の確立を目指し、ここに日本認知症福祉学会を設立するものである。
令和4年11月17日
日本認知症福祉学会設立発起人一同